Environmental Preservation 環境の保全

カーボンニュートラルに向けた取り組み

2023年10月更新

カーボンニュートラルに向けた取り組み

デンカグループは、2050年度までのカーボンニュートラルの実現に向けた動きを加速させます。生産活動に伴う環境負荷を把握し、精力的に対応を進めてまいります。

環境対策推進統括メッセージ
  • 執行役員 環境対策推進統括 香坂 昌信(こうさか まさのぶ)

  • 気候変動・地球環境保全に貢献

    2021年に行われたCOP26に続き、2022年にエジプトのシャルム・エル・シェイクにて開催されたCOP27においては、1.5℃目標への道筋の困難さが浮き彫りになりました。また、CO2排出に紐づく気候変動問題だけでなく、COP27と同年に「生物多様性の保護について話し合う国連会議」も開催され、地球環境保全の重要性も増加しています。当社は、これらの状況をチャンスととらえ、これまでより一層の実効ある環境対策を検討、推進し、当社が提供する製品・サービスを通して社会に貢献することが重要と考えています。
    デンカグループは、2020年11月に2050年度にカーボンニュートラルを実現する方針を発表し、その後2021年5月に2030年度の中間目標を26%から50%に引き上げてきました。このたび、2023年度から開始している経営計画「Mission 2030」において更に一歩踏み込んだ60%を新たな削減目標とし、カーボンニュートラル達成への取り組みを加速しています。
    具体的には、サプライチェーン排出量の直接排出に係る工程への技術開発・導入による削減、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの拡大、火力発電所の燃料転換等を強力に検討・推進いたします。その中でも特徴的な取り組みの1つとして挙げられるのが、当社特有の課題であるカーバイドチェーン由来の非エネルギー起源のCO2排出を削減するために、プラズマを用いてメタンからアセチレンと水素を生成する新技術の導入・実装への検討を開始したことです。また、今後は生産に伴う自社の排出だけでなく、当社製品に使用する原料に由来する排出量や当社製品が使用される際の排出量の低減にも目を向け、それらに貢献できる製品、技術の開発を充実させていきます。
    更に、気候変動対策に加え、当社は地球環境の保全活動として2023年9月にガイドラインが公表されたTNFD(P.56)に沿って生物多様性保全の対応を事前に開始しています。昨年度からは青海事業所と自然との接点について本格的な実地調査を開始、今後数年をかけて全事業所を評価、保全の方針を決めてまいります。
    デンカは、独自の技術・製品を開発・提供することで、気候変動・地球環境保全の課題解決に大きく貢献してまいります。

    執行役員 環境対策推進統括香坂 昌信(こうさか まさのぶ)

環境汚染防止に関する方針
デンカは、グループ各社の生産設備などから排出される環境負荷物質を的確に把握し、継続的な削減に取り組んでいます。対象物質は、CO2などの温室効果ガス・SOx(硫黄酸化物)・NOx(窒素酸化物)・ばいじん・BOD(生物化学的酸素要求量)・COD(化学的酸素要求量)などのほか、PRTR制度(化学物質排出把握管理促進法)の指定対象物質です。また、海洋プラスチックごみ問題などの社会問題化を契機に、2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」に定められた、プラスチック廃棄物の排出の抑制・再資源化の取り組みにも注力しています。
環境負荷物質の除去装置を積極的に導入するとともに、関係法令よりも厳しく設定した自主管理基準を遵守し、引き続き環境負荷物質の排出量削減に努めてまいります。
2050年度までのロードマップ

デンカグループは、2020年度に2050年度のカーボンニュートラルの実現を表明しました。また、そのマイルストーンとして中間年の2030年度においてCO2排出量の50%削減(2013年度比)を目指すことといたしました。
2021年度の当社およびグループ会社からの年間排出量は、新型コロナウイルス感染症流行の影響で工場の稼働が大きく落ち込んだ前年比では増加となりましたが、これまでの省エネ推進、再生可能エネルギー(水力発電)の導入などにより、合計215万t、2013年度比で87%の実績となりました。
今後、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、以下の方策を継続・推進していきます。

省エネ推進 高効率ガスタービン発電機を青海工場(2020年10月稼働開始)・千葉工場(2022年度6月稼働開始)で導入。
引き続き、各事業所で徹底した省エネ強化を推進します。
再エネのさらなる導入 水力発電設備を現在17基保有(そのうちの1基は2022年度稼働開始)。
今後は太陽光発電の導入も積極的に検討、さらなる再生可能エネルギーの利用拡大を推進します。
革新的技術の導入 2030年度までにCO2回収技術の実装化実現を目標に、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発を推進します。

回収したCO2の活用については、地域や周囲の企業との連携も視野に入れながら、化学品転用の展開を模索・検討しています。また、発生するCO2排出量の削減を目的とした、環境負荷低減プロセスの導入・開発の検討にも並行して取り組んでいきます。これらの技術開発、外部との連携を組み合わせることで、自社から発生するCO2排出量の削減を着実に進めていきます。

温室効果ガス排出量削減の中長期目標(Scope1+2)

温室効果ガス排出量削減の中長期目標(Scope1+2)

  • デンカグループ(連結)
  • デンカレポート2021よりデンカ単体ではなく、連結会社合計値を掲載します。

カーボンニュートラルへ向けたロードマップ

環境負荷低減に向けた取り組み

デンカグループは、化学メーカーの社会的貴任を果たすため、自社の環境負荷低減の追求と製品・技術を通じた廃プラスチックの再資源化、生物多様性の保全といった課題に取り組んでいます。

1.資源循環/ケミカルリサイクル
  • 当社は持分法適用関連会社である東洋スチレン(株)と、ポリスチレン樹脂のケミカルリサイクルの事業化に着手しています。米国のアジリックス社より技術を導入し、当社千葉工場内にプラントの建設(年間処理能力:約3,000t)を決定、2023年度下期の稼働開始を予定しています。従来のマテリアルリサイクルとは異なり、再生したポリスチレンの用途に制限がない画期的な手法で、CO2の発生量も通常の生産方法と比較して半減させることが可能です。早期の本格実装実現を目指して、取り組みを進めていきます。

  • ケミカルリサイクル循環モデル

2.生物多様性への対応

デンカは、自然環境情報の収集、整理、検討、意思決定には一定以上の期間を要すると見込み、TNFDのガイドラインで推奨されるLEAPアプローチを用いて、自社の事業活動と生物多様性の接点を見出し、優先課題を把握するという観点で、2022年9月から行動に着手しています。
具体的には、国内7事業所の周囲の自然環境について公共データや文献による調査を実施したうえで、まずは近隣の山岳に17ヵ所の水力発電所を有し、自然環境に最も大きな接点を持つ青海工場(新潟県糸魚川市)に着目し、自然との接点の抽出・評価を始めています。これにもとづき、自然環境との関係における当社のリスクと機会を分析し、生物多様性の保全に向けた具体的な対策に取り組んでいきます。さらに今後は、他の事業所にも順次対象を広げ、上記の活動をサイクルとして継続しながら、長期的な視点で自然環境の維持・向上を目指します。

  • 企業が自然関連のリスクと機会について情報開示を行うにあたり、TNFDが提唱する科学的根拠に基づく体系的評価のプロセス。4つのフェーズ(Locate、Evaluate、Assess、Prepare)で構成される。
3.環境貢献製品の取り組み
炭酸化混和材「LEAF」

当社は、長年培ってきたセメント特殊混和材の技術を駆使して、産業廃棄物を原料に利用する炭酸化混和材「LEAF」を開発しました。「LEAF」はCO2と積極的に反応して固定化する特徴を持ちます。この「LEAF」を鹿島建設株式会社・中国電力株式会社・ランデス株式会社・当社の4社で共同開発した環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM」に配合することにより、コンクリート硬化時にCO2が吸収・固定化され、セメント製造過程からのCO2排出量のネット低減を図ります。

電子部材製品 「SNプレート」

当社の高熱伝導性・高靭性セラミックス基板「SNプレート」は、アルミナの約4倍の熱伝導率を有し、機械特性に優れた高靭性窒化珪素(Si3N4)をベースとする素材です。機械的特性に高伝導率性を付与したことで、信頼性が求められる電気自動車や電鉄等向けの軽量パワーモジュール基板として利用されています。今後加速が予想される自動車産業の電動(xEV)化を素材技術で支えることで、CO2排出量削減に貢献してまいります。

写真

デンカ株式会社 CSR・広報室, デンカ株式会社 IR室

環境経営の考え方

2050年度の「CO2排出ネットゼロ」を目指す
2030年度においても2013年度比50%削減

デンカグループは、社会や生態系が将来にわたり存続可能な環境を維持するために、国際的な枠組みとして合意されたパリ協定の目標実現に貢献すべく、2050年度までに温室効果ガスの排出ネットゼロ:カーボンニュートラルの達成を目指します。その実現に向けて、省エネ推進や水力発電を中心とする再エネの拡大に取り組むとともに、CO2を排出源プラントから分離・回収するCCUSや、クリーンエネルギーである水素の活用等の革新技術の導入に挑戦してまいります。また、自社事業所での排出削減、社会全体の脱炭素に寄与すべく、環境貢献製品や環境負荷低減技術の開発・提供を推進するほか、プラスチックの新たなリサイクル手法導入による資源循環の取り組みを強化していきます。

  • Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・有効利用・貯留
デンカ株式会社 CSR・広報室, デンカ株式会社 IR室
環境の保全
環境方針

環境方針

地球環境への配慮 デンカは、世界の化学工業が推進している、レスポンシブル・ケアを軸に、地球環境保全に取り組んでいます。化学メーカーの責務とし...

環境の保全
カーボンニュートラルに向けた取り組み

カーボンニュートラルに向けた取り組み

デンカグループは、2050年度までのカーボンニュートラルの実現に向けた動きを加速させます。生産活動に伴う環境負荷を把握し、精力的に対応を進めてまい...

環境の保全
カーボンニュートラルに向けた取り組み

環境経営の考え方

2050年度の「CO2排出ネットゼロ」を目指す 2030年度においても2013年度比50%削減 デンカグループは、社会や生態系が将来にわた...

環境の保全
温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みと削減目標

温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みと削減目標

温室効果ガス排出量削減に向けた取り組み 当社は、パリ協定が掲げる2℃未満目標を念頭に置いて、自社での温室効果ガス排出量(Scope1+Sco...

環境の保全
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同

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デンカグループは2020年9月にTCFDへの賛同を表明し、同コンソーシアムに参画しました。TCFDの提言で示されてい...

環境の保全
気候変動のリスクと機会

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リスクと機会の対応 気候変動がもたらすリスクと機会について、気温上昇1.5℃未満(グラスゴー気候合意)・4℃(現状成り行き)のシナリ...

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GXリーグへの参画

GXリーグへの参画

当社は、経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」への賛同を2022年度から表明しておりましたが、この度2023年度より...

環境の保全
クリーンエネルギーの取組み

クリーンエネルギーの取組み

再生可能エネルギーの拡大と環境負荷の少ない発電技術の導入 デンカは100有余年にわたって再生可能エネルギーの利用に取り組んでいます。水...

環境の保全
クリーンエネルギーの取組み

電力の取り組み

青海工場周辺の水力発電所と最大出力 自家用発電所 最大出力(2022年8月現在) ...

環境の保全
環境エネルギー関連等補助金

環境エネルギー関連等補助金

環境エネルギー関連等補助金の活用 補助金制度を積極的に活用し、省エネルギー・環境負荷低減に取組んでいます。 特に経済産業省「エネルギー使用...

環境の保全
環境汚染防止に関する方針

環境汚染防止に関する方針

デンカは、グループ各社の生産設備などから排出される環境負荷物質を的確に把握し、継続的な削減に取り組んでいます。対象物質は、CO2などの温室効果ガス...

環境の保全
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応

自然環境との共生は、気候変動対応と並び持続可能な社会の確立に向けてその重要性が高まっており、国際的な情報開示の枠組みづくりが本格化しています。 ...

環境の保全
水資源保全

水資源

背景 限りある水資源は、気候変動とともにグローバルな課題として認識されています。事業所から海・河川などの公共用水域への排出水について水質...

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循環型社会実現への貢献(ゼロエミッション活動)

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当社青海工場セメントプラント(新潟県糸魚川市)では、原料および熱エネルギーとして使用している天然鉱物の一部を廃棄物・副産物に置き換えることでセメン...

環境の保全
プラスチック問題の取り組み

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デンカグループは、合成樹脂の素材からポリマーの加工・成型までにわたる一貫した製造設備と製品開発力を持つ強みを活かして、地球環境負荷低減とプラスチッ...

環境の保全
環境会計

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環境保全コスト 2022年度の環境投資の主要項目は、環境負荷低減対策(26%)、省エネルギー設備の導入などに伴う地球環境保全コスト(73%)...

環境の保全
主な環境負荷の状況

主な環境負荷の状況

主な環境負荷の状況(2022年度の全事業所合計(カッコ内は2021年度))

環境の保全
2022年度環境パフォーマンスデータ

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CO2排出量 2022年度は、主力である大牟田工場や千葉工場が減産し、CO2排出量は大幅に減少しました。2023年度も、各製造プラント...

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事業所別環境パフォーマンスデータ

事業所別環境パフォーマンスデータ

2022年度 主な物質の排出量及び水利用量の割合 青海工場 ...