2023年10月更新
デンカグループは、2020年度に2050年度のカーボンニュートラルの実現を表明しました。また、そのマイルストーンとして中間年の2030年度においてCO2排出量の50%削減(2013年度比)を目指すことといたしました。
2021年度の当社およびグループ会社からの年間排出量は、新型コロナウイルス感染症流行の影響で工場の稼働が大きく落ち込んだ前年比では増加となりましたが、これまでの省エネ推進、再生可能エネルギー(水力発電)の導入などにより、合計215万t、2013年度比で87%の実績となりました。
今後、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、以下の方策を継続・推進していきます。
省エネ推進 | 高効率ガスタービン発電機を青海工場(2020年10月稼働開始)・千葉工場(2022年度6月稼働開始)で導入。 引き続き、各事業所で徹底した省エネ強化を推進します。 |
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再エネのさらなる導入 | 水力発電設備を現在17基保有(そのうちの1基は2022年度稼働開始)。 今後は太陽光発電の導入も積極的に検討、さらなる再生可能エネルギーの利用拡大を推進します。 |
革新的技術の導入 | 2030年度までにCO2回収技術の実装化実現を目標に、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発を推進します。 |
回収したCO2の活用については、地域や周囲の企業との連携も視野に入れながら、化学品転用の展開を模索・検討しています。また、発生するCO2排出量の削減を目的とした、環境負荷低減プロセスの導入・開発の検討にも並行して取り組んでいきます。これらの技術開発、外部との連携を組み合わせることで、自社から発生するCO2排出量の削減を着実に進めていきます。
温室効果ガス排出量削減の中長期目標(Scope1+2)
デンカグループは、化学メーカーの社会的貴任を果たすため、自社の環境負荷低減の追求と製品・技術を通じた廃プラスチックの再資源化、生物多様性の保全といった課題に取り組んでいます。
当社は持分法適用関連会社である東洋スチレン(株)と、ポリスチレン樹脂のケミカルリサイクルの事業化に着手しています。米国のアジリックス社より技術を導入し、当社千葉工場内にプラントの建設(年間処理能力:約3,000t)を決定、2023年度下期の稼働開始を予定しています。従来のマテリアルリサイクルとは異なり、再生したポリスチレンの用途に制限がない画期的な手法で、CO2の発生量も通常の生産方法と比較して半減させることが可能です。早期の本格実装実現を目指して、取り組みを進めていきます。
デンカは、自然環境情報の収集、整理、検討、意思決定には一定以上の期間を要すると見込み、TNFDのガイドラインで推奨されるLEAPアプローチ※を用いて、自社の事業活動と生物多様性の接点を見出し、優先課題を把握するという観点で、2022年9月から行動に着手しています。
具体的には、国内7事業所の周囲の自然環境について公共データや文献による調査を実施したうえで、まずは近隣の山岳に17ヵ所の水力発電所を有し、自然環境に最も大きな接点を持つ青海工場(新潟県糸魚川市)に着目し、自然との接点の抽出・評価を始めています。これにもとづき、自然環境との関係における当社のリスクと機会を分析し、生物多様性の保全に向けた具体的な対策に取り組んでいきます。さらに今後は、他の事業所にも順次対象を広げ、上記の活動をサイクルとして継続しながら、長期的な視点で自然環境の維持・向上を目指します。
当社は、長年培ってきたセメント特殊混和材の技術を駆使して、産業廃棄物を原料に利用する炭酸化混和材「LEAF」を開発しました。「LEAF」はCO2と積極的に反応して固定化する特徴を持ちます。この「LEAF」を鹿島建設株式会社・中国電力株式会社・ランデス株式会社・当社の4社で共同開発した環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM」に配合することにより、コンクリート硬化時にCO2が吸収・固定化され、セメント製造過程からのCO2排出量のネット低減を図ります。
当社の高熱伝導性・高靭性セラミックス基板「SNプレート」は、アルミナの約4倍の熱伝導率を有し、機械特性に優れた高靭性窒化珪素(Si3N4)をベースとする素材です。機械的特性に高伝導率性を付与したことで、信頼性が求められる電気自動車や電鉄等向けの軽量パワーモジュール基板として利用されています。今後加速が予想される自動車産業の電動(xEV)化を素材技術で支えることで、CO2排出量削減に貢献してまいります。
デンカグループは、社会や生態系が将来にわたり存続可能な環境を維持するために、国際的な枠組みとして合意されたパリ協定の目標実現に貢献すべく、2050年度までに温室効果ガスの排出ネットゼロ:カーボンニュートラルの達成を目指します。その実現に向けて、省エネ推進や水力発電を中心とする再エネの拡大に取り組むとともに、CO2を排出源プラントから分離・回収するCCUS※や、クリーンエネルギーである水素の活用等の革新技術の導入に挑戦してまいります。また、自社事業所での排出削減、社会全体の脱炭素に寄与すべく、環境貢献製品や環境負荷低減技術の開発・提供を推進するほか、プラスチックの新たなリサイクル手法導入による資源循環の取り組みを強化していきます。