2023年10月更新
「化学の未知なる可能性に挑戦し、新たな価値を創造(つくる)ことで、社会発展に貢献する企業となる。」は、SDGsの社会発展に向けた精神と目的を一とする、デンカの使命です。
SDGsを羅針盤として、独自の製品技術やソリューションを生み出し、世界発展への貢献を目指していきます。
化学製品を製造する電気炉や化学プラントを稼働させるためには、低廉で安定的なエネルギーの確保が必要です。100年を超える歴史の中では事業存続にかかわる困難を幾度も経験してきました。
そのためデンカは再生可能エネルギーの増発電や各工場の省エネルギーに取り組むとともに、製品・サービスの提供を通じた、地球温暖化防止への貢献を推進しています。
世界では、CO2を利用して有機化合物合成を行う研究や、微細藻類の光合成や作物の促進光合成に積極的に使う研究も進んでいます。こういった研究も参考にしながら、CO2を大気へ排出せずに製品に利用するための、デンカ独自のCCU技術(Carbon capture & utilization)の確立を目指していきます。
デンカ青海工場では、社会から排出される廃棄物を、セメントの原料や燃料として受け入れています。上下水道の汚泥、災害で発生した瓦礫、建設残土、廃油、廃プラスチック、廃タイヤ、自動車のリサイクルで最後に残るシュレッダーダスト、そして火力発電所や製鉄所の副生物である石炭灰、石膏、鉱さいなどの廃棄物は、その多くが埋め立て処分せざるを得ないものです。それぞれの資源は、形状や成分が異なり安定していないこともあり、安全と品質の管理に細心の注意を払いながら、高度な管理技術を駆使してセメントの製造を行っています。環境保全と地域社会の資源循環を支える基盤であるセメント事業は、事業収益の向上と、社会貢献を両立する優れた CSV(Creating shared value)事業です。
デンカは1915年の会社創立時より水力発電所の建設と運営を行っています。青海工場の周辺には共同保有分も含めて17カ所の水力発電所があり、最大出力は約14万kWと、民間企業として国内屈指の規模です。そのすべてが「流れ込み式」の水力発電所で、河川の水を水車ランナーに誘導し、発電後には川に戻すため、自然環境への負担の少ない発電方法です。
水力発電は温室効果ガスを排出しないだけでなく、エネルギー効率が高い優れた再生可能エネルギーの一つであり、自然と共生しながら永続的に電気を生み出すことが可能です。
1921年開設の小滝川発電所などの100年にも及ぶ歴史的な設備を大切に利用するとともに、発電効率を高める設備更新や新たな水力発電所建設も行っています。新規の水力発電所の建設は、建設期間が長く大きな費用がかかるため、大きな困難が伴います。
地域社会のご理解とご協力の下、国の支援制度を活用しながら、長年培ってきたノウハウを再生可能エネルギーの利用拡大と社会発展に活かすことが、デンカの社会的責任であると捉えています。
超高速・多数同時接続・低遅延を特徴とする次世代通信には高周波の電磁波が使われますが、高周波化に伴う信号の伝送損失を抑えるため、基板材料には低誘電率・低誘電正接が求められます。SNECTONは当社の重合技術により設計した熱硬化型の低誘電有機絶縁材料であり、次世代通信用の樹脂材料に好適な材料です。5G・6Gの実現に貢献すべく次世代通信基盤用途を中心に市場開発に取り組んでいます。
風力発電等自然エネルギーを活用した発電システムやEVモーター等、発電/動力の元となる回転系装置のベアリングボールを従来の鉄製からセラミック製に置き換える動きが海外で高まっています。その中で耐久性に優れるSNが注目され、すでに放熱基板で実績のある、SN粉をベアリングボール向けに開発しました。
接着剤事業で当社が長年培った「アクリル系素材配合技術」及び「UV硬化剤配合技術」を用いて、液状UV仮固定接着剤である「TBM」を新規に開発しました。次世代パワーデバイスに順次適用されるSiC対応が可能な仕様を構築中です。
北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所との共同研究で、エボラ患者血液から抗原を迅速検出するキットを開発しました。実際にコンゴ共和国での流行地域で臨床的有用性が確認されたことから、国内の体外診断用医薬品の承認を得ています。更にマールブルグなど類似のウイルスへの展開を図ると共に、WHOなどの関係機関と実用化に向けた取り組みを進めています。
新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時流行に備え、両方のウイルスを1つのデバイスで同時に診断可能な抗原迅速診断キット(POCT)の国内製造販売承認を2021年6月に取得し、販売を開始しました。デンカはPOCTの国内トップメーカーとして、キットの供給等を通じて、医療に貢献してまいります。
炭酸化混和材「LEAF」は、空気中のCO2を吸収・固定化しながら組織を緻密化させる特殊混和材であり、モルタル・コンクリート製造時のCO2総排出量を低減する効果を有します。
デンカは鹿島建設㈱、㈱竹中工務店、当社を中心としたコンソーシアム「CUCO (CARBON UTILIZED CONCRETE)」を結成し、「LEAF」を含めた複数のCO2排出量低減技術の融合によるカーボンネガティブコンクリートの普及活動を進めています。
バイオマスプラスチックを独自の技術で配合することで環境負荷を低減する新環境対応シートをデンカポリマー社と共同で開発しました。開発品のバイオマス度は、一般社団法人日本有機資源協会の認定(バイオマス成分10%以上)を受けております。食品容器としての機能は130℃のレンジアップ耐性や従来のフィラー入りPP(PP-F)に比べて軽量性を有し、温室効果ガス排出量削減にも貢献出来ます。
天然素材の卵殻とプラスチックの1つであるポリスチレン(PS)樹脂を配合した地球にやさしい新素材を開発しました。本開発品は、50重量%以上の卵殻配合が可能な独自技術を用いており、更にABS樹脂との配合やセルロースなど他の天然素材の有効活用も含めた改良も進めております。性能としては既存のPS樹脂と同等の耐久性と成形性があり、温室効果ガス排出量およびプラスチック廃棄物の削減に貢献できます。
デンカグループは、2023年度に開始する経営計画「Mission2030」の策定に際して、2030年に向けた8年間の中長期にわたるESG側...