Denka Group ESG Management デンカグループのESGマネジメント

デンカグループの経営重要課題(マテリアリティ)について

2024年12月更新

デンカグループの経営重要課題(マテリアリティ)について

デンカグループは、2023年度に開始する経営計画「Mission2030」の策定に際して、2030年に向けた8年間の中長期にわたるESG側面での課題を分析・評価するとともに、マテリアリティの見直しを実施しました。

1. ESG経営推進体制について

  • 「サステナビリティ委員会(委員長:社長)」は、気候変動問題を含むサステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題に対して、執行部門による積極的・能動的な取り組みを監督するために、業務執行部門内に設置しています。代表取締役社長を委員長、経営企画部担当役員を副委員長、管理部門担当役員を委員とし、オブザーバーとして委員を除く取締役が出席して、年5回開催します。

    執行部門によるサステナビリティに関する取り組みと非財務目標KPI(重要業績評価指標)達成状況などを審議し、提言を行います。審議・提言の実施においては、会社の意思決定の透明性・公平性の確保と、実効的なコーポレートガバナンス実現の観点から、サステナビリティ課題への取り組みと経営戦略・経営課題などとの整合性を意識し、リスクおよび収益機会が事業活動に与える影響を考慮します。本委員会の審議結果は、取締役会に報告します。

    また、「ポートフォリオ変革委員会(委員長:社長)」は、スペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの3つの要素をそなえた事業へ、ポートフォリオ変革を推進するために設置しました。CO2排出量、労働生産性といった指標を取り入れて、2030年までに「3つ星事業100%」を目指しています。

  • 第一回サステナビリティ委員会(2023年7月10日)第一回サステナビリティ委員会(2023年7月10日)

ESG経営推進体制

2. 見直しのプロセス

  1. デンカグループは、経営計画「Mission 2030」の策定に際して、2030年に向けた8年間の中長期にわたるESG側面での課題を分析・評価するとともに、マテリアリティの見直しを実施しました。
  2. 新たなマテリアリティは、経営計画「Mission 2030」策定時に分析した「想定される世界」と「メガトレンド」における社会的責任を遂行するために重要な経営課題を明確にし、事業活動の個別の目標につなげる役割を果たしています。外部専門家の支援を得て社会課題項目の母集団(注)リストを評価・分析し、マテリアリティ・マップ(マテリアリティ・マトリックス)手法により選別した上で、経営計画策定のプロセスを経てマテリアリティとする14項目を特定し、2022年11月取締役会で決定しました。
  • (注:社会課題項目の母集団: 世界経済フォーラム(WEF)グローバルリスク報告書(2022年版)、持続可能な開発目標(SDGs)、SASBスタンダード、CDP等のESG評価機関調査項目を分析し、23カテゴリー/333項目に分類したもの)
デンカグループのマテリアリティ分析マップ

3. 新たなマテリアリティ(経営重要課題)

14項目を2つのカテゴリーに分類
  1. 事業活動を通じて社会に貢献する「サステナビリティ社会への責任と貢献」と、企業存続と持続的成長の前提となる「事業基盤の強化」の2つのカテゴリーに分類しました。
  2. 「サステナビリティ社会への責任と貢献(5項目)」は、地球温暖化対策、ヘルスケア、サステナブルな都市と暮らしなど、デンカグループが果たすべき、事業を通じた社会課題解決を目指す項目で構成しています。
  3. 「事業基盤の強化(9項目)」は、「デンカグループESG基本方針」に準拠するとともに、持続的成長の源泉である人財に係わる課題と、サプライチェーンの交流を通じた社会的責任の遂行を掲げています。
デンカグループESG基本方針とマテリアリティおよび課題解決の方向性

4. サステナビリティ課題の経営への組み込み

4.1 成長戦略と非財務KPIの設定
  1. マテリアリティは、経営基盤におけるサステナビリティ課題のリスク・機会を中長期的な視点で対応し、ビジョンの実現を目指すための必須な要素であり、事業活動の基軸となるべきものです。
  2. 経営計画「Mission 2030」では、マテリアリティと紐づく成長戦略を設定することで、デンカグループ全体で気候変動をはじめとする世界的課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
  3. 新たなマテリアリティを成長戦略における個別の「方針」と「施策」の各項目へ反映させるとともに、進捗管理の可視化を意識した非財務KPIを策定しました。ESG課題解決と収益向上の両立を実現させ、その好循環を加速させることで、持続的な成長を目指します。
4.2 マテリアリティと非財務KPI
  1. 「Mission2030」で特定した、マテリアリティに紐づく非財務KPIと2030年度目標は、以下の通りです。
方針 非財務KPI 2023年度実績 2030年目標
カーボンニュートラルの実現 ①グループ全体のCO2排出量削減 2013年度比28%削減(178万t-CO2 13年度比60%削減(100万t)
②再生可能エネルギー発電の最大出力 146MW 150MW
③再生可能エネルギー+非化石証書付き電力構成比 40% 76%
④グループ全体の省エネ推進 前年度比102% 前年比1%の削減継続
健康寿命の延伸と健康格差の是正 「3つ星事業」への集中 100%
サステナブルな都市と暮らしの充実 ①スチレン系樹脂ケミカルリサイクルによる脱炭素、循環型社会への貢献
  1. PSケミカルリサイクルプラント竣工、稼働開始
  2. 市原市と使用済PS製品の回収スキームを構築
PSケミカルリサイクルの社会実装コンソーシアム確立
②CO2コンクリート固定化技術の確立 32t LEAFの拡販
新事業創出による持続的成長 (財務KPI)
環境の保全、環境負荷の最小化 ①廃棄物ゼロエミッション継続 廃棄物ゼロエミッション継続
単体:0.05%
国内関係会社含む:0.06%
廃棄物ゼロエミッション継続
②TNFDに基づく生物多様性・水などの自然関連リスクへの対応
  1. 本体事業所の生物多様性評価計画を策定
  2. 大牟田・渋川・五泉・美唄の現地調査と青海の追加調査を実施
TNFDに準拠した生物多様性保全計画の遂行とグループ内啓発活動の継続
人財育成体制強化 平均研修金額(1人当たり) 69千円 / 人・年 2021年度比2倍
ダイバーシティ、エクイティ &インクルージョン 管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計比率 20% 50%
男性育児休業取得率 53% 85%
中途採用比率 31% 50%
健康経営と働き方改革 従業員エンゲージメントの向上 第3回社員意識調査の分析結果より抽出された課題に対するアクションプランを作成 エンゲージメントの可視化と継続的な改善
時間外労働 147時間 30時間以下/人・年
年次有給休暇取得 81% 100%
シフトブレーカーの導入 シフトブレーカー採用数15名
在宅勤務率 39% 週2日
体重適正者 65% 80%
高ストレス者 15% 10%以下
良い運動習慣 34% 40%
喫煙者 25% 12%以下
プロセス革新 省力化1,000人(投資額500億円/8年) プロセス革新投資額:23億円
人権の尊重 国連ビジネスと人権に関する行動原則及び国連グローバルコンパクトに基づく人権方針策定と人権尊重の徹底
  1. 「デンカグループ人権方針」を制定し、人権ワーキングチーム発足。
  2. 人権行動計画のオンライン説明会開催(2回)。
  3. 重要人権リスク特定のためのヒアリング(対象:本社事業部門・管理部門、労働組合)を実施し、優先的に取り組むべきリスク項目(11個)を特定。
グループ・サプライチェーンの人権リスク特定と対応プロセスの確立
安全最優先 労働災害度数率 0.4 本体・関係会社 0.2以下
労働安全・保安防災のオンライン教育 82%(入社5年目頃のデンカ社員対象実施) グループ社員全員対象
サプライチェーン・マネジメント 原料リスク評価によるBCP対策(上流) BCP原料リスク評価の取りまとめを実施。高リスク評価の品目が全体に占める割合は、第1回(2020年4月)の31%から15%に減少 高リスクサプライヤー数ゼロ
調達アンケート実施率(上流) 原燃料の全取引先732社に対してUNGCのESG調査アンケートを実施。78%にあたる572社から回答を得ている。 調達額90%の取引先へのアンケート実施
ESG評価機関の高評価獲得(下流) EcoVadisスコア改善計画の実施 Ecovadis Gold
製品安全と品質向上 品質管理システムの統合・管理レベル高度化 UL認証等不適切行為が判明 重大品質事故発生件数ゼロ
コーポレートガバナンス高度化 取締役会の継続的な実効性向上
  1. 独立性・客観性を強化するため、指名・報酬等諮問委員会の委員長に社外取締役を選任
  2. 全取締役の出席が必須である「サステナビリティ委員会」の設置
グローバルなグループ全体のリスク管理の徹底 UL認証等不適切行為が判明 重大なコンプライアンス違反件数ゼロ
コンプライアンス教育受講 全グループ社員を対象とした行動基準Eラーニングの実施:受講率 約9割 全グループ社員受講
内部通報制度の適切な運営と通報への対応状況の開示 ESG情報サイトに2023年実績を開示 ESG情報サイトでの開示
Vision・経営計画の浸透
  1. ビジネスコンテスト開催(Denka Innovation Day)
  2. 社員改善提案制度開設(Immprovement Committee)
Visionと経営計画の浸透
内部統制フレームワークのグループ内整備
  1. 整備完了:11社
  2. 整備推進中:3社
  • 2021年度からの合算
全グループ会社への内部統制フレームワーク
整備完了

5. 今後のマテリアリティに見直し

サステナビリティを巡る課題、社会のニーズ、ステークホルダーからの期待の変化に応え、環境・社会・経済情勢と事業活動との相互のインパクトを適切に見極め、確実に経営に反映させるために、マテリアリティおよび非財務指標(KPI)について、適宜見直しを行います。

株式会社ディ・エフ・エフ, デンカ株式会社 CSR・広報室, デンカ株式会社 IR室, 星和ビジネスリンク
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